『椿姫』-オペラを知る

クラシック音楽情報【オペラを知る】

歌唱、オーケストラ、演技、衣装、舞台、演出…と総合芸術といわれるオペラ。

上演時間が長い、チケット代が高い、内容がわからない…など、クラシック音楽の中でも敷居が高いと言われます。

でも
こんなに奥深いオペラの愉しみを知らないなんて
もったいない!

主なオペラ一覧は こちら

椿姫
La traviata

世界中の誰もが涙する結末を迎える、ヴェルディの傑作オペラ。
華やかなパリ社交界を舞台に、高級娼婦ヴィオレッタと富豪の息子アルフレードの純愛。しかしアルフレードへの愛のために、真実を隠して一方的な別れを決意。時が経ち、真実を知ったアルフレードがヴィオレッタのもとへ戻るが、時すでに遅くヴィオレッタは肺病のために息絶える。

【作曲】 ジュゼッペ・ヴェルディ
Giuseppe Verdi(1813-1901)
【原作】デュマ・フィス同名小説
【台本】フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
【言語】フランス語
【初演】1853年3月6日 フェニーチェ劇場(ヴェネツィア)
【上演時間】約2時間20分
[第1幕 30分、第2幕 70分(1場50分、2場20分)、第3幕 40分]
大幅にカットして1時間50分前後で上演されることも多い。

主な登場人物

ヴィオレッタ(ソプラノ) – パリの高級娼婦
アルフレード・ジェルモン(テノール)- 地方出身の青年貴族
ジョルジュ・ジェルモン(バリトン)- アルフレードの父親
フローラ(メゾソプラノ)- 高級娼婦、ヴィオレッタの友人
アンニーナ(ソプラノ)- ヴィオレッタの召使い
ガストン子爵(テノール)- アルフレードの友人
ドゥフォール男爵(バリトン)- ヴィオレッタのパトロン

あらすじ

【第1幕】パリ、ヴィオレッタのサロン

高級娼婦ヴィオレッタの屋敷では、毎夜賑やかなパーティーが開かれている。そこへガストン子爵が、友人のアルフレードをヴィオレッタに紹介する。皆に所望され『乾杯の歌』を披露し、ヴィオレッタも加わり二重唱となり、さらに皆が加わって華やかに歌う。

『乾杯の歌 Libiamo ne’ lieti calici』
ヴィオレッタ:D.ダムラウ(1971-)
アルフレード:J.Dフローレス(1973-)

舞踏会の最中に、めまいを起こしひとり休んでいるヴィオレッタ。
そこに彼女を心配したアルフレードが現れ、情熱的に口説く。軽くあしらっていたものの彼の真剣さに心動かされたヴィオレッタは「この花がしおれるころに再会しましょう」と椿の花を渡す。
アルフレードら来客が去り、1人になったヴィオレッタは「不思議だわ」(作品を通じ、彼女はこの言葉を各幕で1回、計3回繰り返す)と物想いにふける、恋心と、娼婦である自分の現実の葛藤の中『花から花へ』を歌う。

『そは彼の人か~花から花へ È strano! è strano! in core』
ヴィオレッタ:E.グルベローヴァ(1946-)

【第2幕】
第1場 パリ郊外の別荘

出会いから数か月、ヴィオレッタは社交界を去り、パリの郊外で二人静かに暮らしている。
彼女との生活の喜びを『燃える心』で歌うアルフレードは、女中アンニーナ から、二人の生活費のためにヴィオレッタが彼女の財産を売却していたことを聞く。自分の不甲斐なさに気付き、アンニーナに口止めをしてパリへ金の調達に出かけて行く。
アンニーナからアルフレードのパリ行きを聞いたヴィオレッタは理由を知らされず不思議に思う(2度目の「不思議ね」)。
そこへアルフレードの父親ジョルジョ・ジェルモンが突然やって来て「息子をたぶらかしている」とヴィオレッタを非難するが、自分の財産を生活のために売却していることを知り、非礼を詫びる。

『天使のように清らかな娘
Pura siccome un angelokakko』
ヴィオレッタ:A.ゲオルギュー(1965‐)
ジョルジョ:レオ・ヌッチ(1942-)

しかしジョルジョ・ジェルモンからアルフレードの妹の縁談にさしさわることを理由に、別れることを懇願され、ヴィオレッタは泣く泣く身を引くことを決心し『お嬢さんにお伝えください』 で悲しい諦めを歌う。

彼女はアルフレードと別れて元のパトロンとの生活に戻る、という偽りの別れの手紙を書き、パリへと戻る。それを読んで激怒するアルフレード。再びやって来た父ジェルモンが、ふるさとへ戻るようにとアルフレードに語り『プロヴァンスの海と陸』を歌う。しかしアルフレードはヴィオレッタに復讐をすると言いパリへ向かう。

第2場 パリ、ヴィオレッタの友人フローラのサロン
社交界に戻ったヴィオレッタは、男爵とともに友人フローラのサロンでの仮面舞踏会を訪れる。
そこへアルフレードがやってきて、男爵にカルタの勝負を挑んで圧勝する。皆が別室へ移った後、アルフレードを心配するヴィオレッタに彼は復縁を迫るが「男爵を愛している」と言ってしまう。それに激高したアルフレードは皆を呼び「借りた金を返す」と、カルタで勝った金をヴィオレッタに投げつける。
ヴィオレッタはショックで気を失い、人々がアルフレードを非難する中、追って来たジェルモンが息子の行動を叱りつける。取り返しがつかない事をしたと後悔するアルフレード、真相を言えないジェルモン、アルフレードを想うヴィオレッタ、ヴィオレッタを思いやる皆の心境をうたい、男爵がアルフレードに決闘を申し込んで第2幕を終わる。

【第3幕】 ヴィオレッタの家
『前奏曲』

ヴィオレッタは結核で、死が目前に迫っていでる。
ジェルモンから届いた「アルフレードに真実を話したので、彼は貴方を訪ねるでしょう」と書かれた手紙を読み返すヴィオレッタは、もう遅いと泣きながら『過ぎし日よ、さようなら』を歌う。

『過ぎし日よ、さようなら
addio del passato』
ヴィオレッタ:ナタリー・デセイ(1965‐)

窓の外を謝肉祭の楽しい行進が通り過ぎ、アルフレードが戻ってくる。
再会を喜ぶ二人は、パリを出て田舎で二人楽しく暮らそう『パリを離れて』を歌う。

二重唱
『パリを離れて Parigi, o cara』
ヴィオレッタ:アンナ・ネトレプコ(1971‐)
アルフレード:ローランド・ヴィラゾン(1972‐)

しかしヴィオレッタの病は重く、死期が迫り、医師やジェルモンもかけつける。
その時突然ヴィオレッタの体から苦しみが消え「不思議だわ、新しい力がわいてくるよう」といいながら息を引き取る。

その他

・原題『La traviata』の直訳は「道を踏み外した女」。

・『蝶々夫人』『カルメン』と共に有名オペラの3大失敗ということがあるように初演は大失敗だった。娼婦を主役にした作品ということで、イタリアの統治国側の検閲により道徳的な観点から問題視されたこと、作品の完成から初演まで数週間しかなく準備不足だったこと、また結核で亡くなるヒロインを演じたのが、恰幅のいいソプラノ歌手だったことなど理由に挙げられる。

・ヴィオレッタは、原作小説の作者アレクサンドル・デュマ・フィスの恋人マリー・デュプレシーという実在のモデルがいる。

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