クラシック音楽情報
【オペラを知る】
歌唱、オーケストラ、演技、衣装、舞台、演出…と総合芸術といわれるオペラ。
上演時間が長い、チケット代が高い、内容がわからない…など、クラシック音楽の中でも敷居が高いと言われます。
でも
こんなに奥深いオペラを愉しまないなんて
もったいない!
主なオペラ一覧は こちら
ラ・ボエーム
La Bohème
19世紀のパリを舞台にし、貧しい芸術家たちの友情と詩人ロドルフォと薄幸の女性ミミの悲恋を描いた現在、最もよく演奏されるイタリアオペラのひとつ。
プッチーニはワーグナーのライトモティーフの手法を取り入れ、各登場人物の性格を表す動機を活用している。
『冷たき手を』『私の名はミミ』の名アリアが綴る出会いのシーンは、数あるオペラの中でも最も美しい愛の名場面。
【作曲】ジャコモ・プッチーニ
Giacomo Puccini(1858-1924)
【原作】アンリ・ミュルジェール 『ボヘミアンたちの生活情景』(1849)
【台本】ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
【言語】イタリア語
【初演】1896年2月1日 トリノ王立劇場 指揮:トスカニーニ
【上演時間】約1時間45分
第1幕35分
第2幕18分
第3幕25分
第4幕27分
新国立劇場オペラ「ラ・ボエーム」ダイジェスト映像
主な登場人物
ミミ(ソプラノ):、お針子
ムゼッタ(ソプラノ):歌手、マルチェッロの恋人
ロドルフォ(テノール):詩人
マルチェッロ(バリトン):画家
ショナール(バリトン):音楽家
コッリーネ(バス):哲学者
ブノア(バス):家主
あらすじ
【第1幕】1830年代 パリの屋根裏部屋
屋根裏部屋ぐらしの芸術家仲間4人が貧乏ながらも、夢と希望、そして友情をもちながら自由に生活をしている。
クリスマス・イヴの夜。
画家マルチェッロと詩人ロドルフォが部屋で仕事をしている。ロドルフォが売れ残りの原稿を暖炉に入れて暖を取っていると、哲学者コッリーネが「本が売れなかった」と言って帰ってくる。
暖炉の火が消えかけた頃、音楽家ショナールが”金・食料・薪・煙草などを運ぶ従者たちとともに意気揚々と戻ってきてみんな大喜び。
皆が騒ぐ中、家主ベノワが家賃の取り立てにやって来るが、4人で言いくるめて外へ追い出し、家賃になるはずの金を分けあい夜の街に繰り出すことに。
ロドルフォは書きかけの原稿を終わらせてから合流すると言い、部屋にひとり残っていたところ、お針子のミミがカンテラの火をもらいにやって来る。
ミミはめまいを起こして倒れ込むが、ロドルフォに介抱されて落ち着き、ロウソクに火をもらい部屋を立ち去る。
鍵を忘れたミミが戻ってくる。風で二人のロウソクの火が消えてしまい、二人は暗闇の中手探りでカギを探す。ロドルフォが先に見つけるが、それを隠してミミに近寄り、二人の手が触れ合う。
ロドルフォはミミに自分のことを紹介する。『冷たい手を Che gelida manina』
続いてミミも自己紹介をする。『私の名はミミ Sì, mi chiamano Mimì』
『冷たい手を 』
『私の名はミミ』
ロドルフォ:L.パヴァロッティ(1935-2007)
ミミ:フィアマ・イゾ・ダミコ(1964‐)(1986年上演)
ロドルフォを待ちかねた仲間が声をかけると、ロドルフォは「先に行って席を2人分取っておいてくれ」と言い、仲間たちは気を利かせて先にパリの街へ出かける。
ロドルフォとミミの二重唱『おお、麗しい乙女よ O soave fanciulla』で幕がおりる。
『おお、麗しい乙女よ 』
【第2幕】 カフェ・モミュス
クリスマスイブの賑わいの中、仲間に遅れてロドルフォがミミと共に合流し、彼女を皆に紹介する。
皆で食事をはじめる頃、マルチェッロは別れた恋人ムゼッタがパトロンのアルチンドロと一緒にいるところを見つける。
ムゼッタはマルチェッロに気付き、彼を挑発するように『私が街を歩くと Quando me n’vo soletta per la via』を歌う。
『私が街を歩くと』
ムゼッタ:A.ネトレプコ(1971‐)
マルチェッロはムゼッタへの気持ちが再燃する。
ムゼッタは靴がきつくて痛いと言って、アルチンドロを靴屋へ行かせる。邪魔者がいなくなったムゼッタとマルチェッロが抱きあう中、ウェイターが勘定を持ってくる。
皆は手持ちの資金が底をついており、ムゼッタは自分と彼らの支払いをアルチンドロに押し付け、皆はちょうど通りがかった帰営する軍隊の行進の後を追って、喧噪の中その場を逃げ去る。
店に戻ってきたアルチンドロが、その金額に驚いたところで幕が下りる。
【第3幕】2幕から2か月後 アンフェールの門の前
ある日の早朝。雪が降るパリ郊外の居酒屋の脇。税関の役人が農家の女たちを市内に入れている。
ミミが雪の中、激しく咳き込みながらマルチェッロとムゼッタが住んでいる居酒屋を探しだしてやってくる。
ミミは「ロドルフォが、自分には合わないから別の恋人をみつけろ、と言って昨夜ひとり家を出てしまったので、助けて欲しい」とマルチェッロに相談する。『ああ、マルチェッロ、助けてちょうだい O buon Marcello, aiuto!』
ミミ:M.フレーニ(1935-)
マルチェッロ:R.パネライ(1924-2019)
指揮・H.V.カラヤン(1908-1989)
演出:ゼフィレッリ( 1923-2019)
ミラノスカラ座(1965上演)
そこへロドルフォが居酒屋から出てきたので、ミミは隠れる。
ロドルフォはマルチェッロに「ミミが浮気者だから別れるつもりだ」と言う。しかし問い詰められると、自分の貧しさのためにミミの治療ができない自分を責め、彼女のために別れなければいけない、と本心を打ち明ける。
その告白を聞いていたミミが、せき込み泣きながら現れ、二人が幸せだった過去の回想に浸る。
そしてミミは「以前買ってもらったあの帽子だけは、良かったら私の思い出にとって置いて欲しい」と言ってロドルフォの気持ちを汲んで別れを告げる。『あなたの愛の呼ぶ声に Donde lieta uscì al tuo grido d’amore』
ロドルフォも彼女をいたわりつつ別れを口にする。『さらば甘い目覚めよ Addio dolce svegliare』
ふたりの歌に並行して、居酒屋から出てきたムゼッタとマルチェッロが激しく言い争い喧嘩別れして行く。ミミとロドルフォは春になるまで一緒にいようと決める。
第1幕の最後にロドルフォとミミが愛の言葉を交わす二重唱の一節を繰り返して幕が下りる。
第3幕 Final
ミミ:A.ネトレプコ(1971‐)
ロドルフォ:R.ヴィラゾン(1972‐)
ムゼッタ:N.カベル(1977‐)
マルチェッロ: B.ダニエル
【第4幕】数か月後 再び屋根裏部屋
ロドルフォとマルチェッロは、お互い恋人と別れてしまっているが、それぞれ別れた恋人を忘れられず、孤独を嘆く。
二重唱『おおミミ、君はもう戻ってこない O Mimi`, tu piu` non torni』
ロドルフォ:R.アラーニャ(1963‐)
マルチェッロ:F.フェラーリ(1963‐2015)
ショナールとコッリーネがわずかな食料を持って帰り、四人はいかにも豪勢な食事であるかのように陽気に芝居をしながら食べる。
そこにムゼッタが動揺し息を切らし瀕死のミミを連れてやって来る。ミミは金持ちの所で世話になっていたが、死ぬ前に一目ロドルフォに会いたいと言ったのだった。
ロドルフォはミミを抱きかかえベッドに連れていく。
ムゼッタは、薬と医者を呼ぶために自分のイヤリングを売るようマルチェッロに頼む。
ムゼッタは、寒いと言うミミのためにマフラーを手を温めるためのマフをとりに部屋を出て、コッリーネはミミのために自分の古着を質に入れようと、ショナールを誘って部屋を去る。
『古い外套よ Vecchia zimarra』
コッリーネ:ブランドン・セデル
二人きりになったミミとロドルフォは、最初の出会いや幸せな日々を思い出し愛を語り合う。ロドルフォが例の帽子を見せるとミミは喜ぶ。
二重唱『みんな行ってしまったの? Sono andati?』
『ああ、僕のミミ Ah, Mimì, mia bella Mimì!』
しかしミミは再び気を失い、ロドルフォの声を聞きつけショナールたちが駆込んで来る。ムゼッタはマフを、マルチェッロは薬を持っている。
ミミは再び目覚め、マフで手が暖まると喜び、眠りにつくミミの側でムゼッタは聖母マリアに祈る。
それから間もなくして、皆の願いもむなしくミミは息を引き取る。
ロドルフォは激しく絶望し、涙ながらに彼女の名を叫び、最後にミミが歌ったモティーフをオーケストラが強奏で繰り返し、幕となる。
第4幕 Final
ミミ:A.ネトレプコ(1971‐)
ロドルフォ:P.ベチャワ(1966‐)
ムゼッタ:N.マチャイヅエ(1986‐)
マルチェッロ:M.カヴァレッティ(1978‐)
指揮:D.ガッティ(1961-)
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
2012年8月ザルツブルク音楽祭
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」
指揮:カラヤン
出演:M.フレーニ/L.パヴァロッティ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》 [DVD]
監督:ロバート・ドーンヘルム
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
出演:アンナ・ネトレプコ/ローランド・ビリャソン
バイエルン放送交響楽団
ラ・ボエーム デラックス版 [DVD]
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