『セヴィリアの理髪師』- オペラを知る

クラシック音楽情報【オペラを知る】

歌唱、オーケストラ、演技、衣装、舞台、演出…と総合芸術といわれるオペラ。

上演時間が長い、チケット代が高い、内容がわからない…など、クラシック音楽の中でも敷居が高いと言われます。

でも
こんなに奥深いオペラを愉しまないなんて
もったいない!

主なオペラ一覧は こちら

セヴィリアの理髪師
Il Barbiere di Siviglia

18歳でオペラの売れっ子作曲家となったロッシーニが、24歳の時にわずか13日間で書き上げた彼の代表作のひとつ。

「ロッシーニクレッシェンド」と呼ばれる、短い音型を繰り返しながら音量を増していく作曲技法で盛り上がる序曲から始まり、わかりやすいストーリーを軽やかな声の妙技で楽しめるオペラ・ブッファ(喜劇)。

莫大な財産と美貌に恵まれたロジーナに一目惚れした青年伯爵。ロジーナと結婚して財産も手に入れようとする叔父のバルトロ。“町の何でも屋”理髪師フィガロの助けを借りて、伯爵は恋を成就させる。

この作品に続く物語が、モーツアルトの傑作オペラ『フィガロの結婚

【作曲】 ジョアッキーノ・ロッシーニ
Gioachino Antonio Rossini(1792-1868)
【原作】ピエール・ド・ボーマルシェの同名戯曲(1775)
【台本】チェーザレ・ステルビーニ
【言語】イタリア語
【初演】1816年2月20日 アルジェンティーナ劇場(ローマ)
【上演時間】約2時間40分 [第1幕 100分  第2幕 60分]

新国立劇場ダイジェスト映像

主な登場人物

フィガロ(バリトン):セヴィリャの理髪師/何でも屋
アルマヴィーヴァ伯爵(テノール):スペインの若き貴族/ロジーナと最終的に結婚
ロジーナ(ソプラノ):莫大な遺産を継いだ若い娘
バルトロ(バス):医師、ロジーナの叔父で後見人/遺産目当てでロジーナとの結婚を企んでいる
バジリオ(バス):ロジーナの音楽教師
ほか

 

あらすじ

『序曲』
指揮:ユーリ・テミルカーノフ(1938‐)
サンクトぺテルブルク交響楽団

【第1幕】
第1場 
18世紀セビリア(夜明け前のバルトロ邸前の広場)

スペインの貴族アルマヴィーヴァ伯爵は、マドリッドでひとめぼれをしたロジーナを追ってセヴィリアまでやってくる。
伯爵はロジーナが住むバルトロ邸のバルコニーに向かいセレナードを歌う。

東の空が微笑み
Ecco ridente in cielo』
ファン・ディエゴ・フローレス(1973-)

ロジーナの叔父で後見人の医師の叔父バルトロは、ロジーナと結婚できれば美女と彼女が親から継いだ莫大な財産を一気に手に入れることができると目論み、男が言い寄らないよう警戒している。そのためバルトロ邸の監視は厳しく、伯爵はなかなかロジーナに会うことができない。

夜明けとともに、伯爵の旧知の仲”町の何でも屋”フィガロが登場。

おれは町の何でも屋
La ran la lera…Largo al factotum』
D.ホロストフスキー (1962-2017)

伯爵はフィガロにこの家の娘に一目惚れしてしまったことを打ち明ける。
その時、ロジーナが「身分と名前を教えて」と書いたメモを窓から落とす。

バルトロが外出するのを見届けて、伯爵は彼女への恋を歌う。
地位や資産に関係なくロジーナに愛して欲しいと思った伯爵は、身分と名前を偽って貧しい学生リンドーロだと名乗る。

もしあなたが私の名前を知りたければ
Se il mio nome saper voi bramate』
伯爵:J.D.フローレス

フィガロは伯爵から礼金をもらい、バルトロ邸内に入る。

二重唱『その不思議にして万能の
All’idea di quel metallo 』
フィガロ:ヘルマン・プライ(1929-1998)
伯爵:ルイジ・アルヴァ(1927- )
指揮:クラウディオ・アバド(1933-2014)

第2場

リンドーロ(伯爵)への手紙を書きながら、恋心を歌うロジーナ。

今の歌声は
Una voce poco fa』
ロジーナ:マリア・カラス

フィガロがバルトロ邸に入った所にバルトロが帰宅したので、慌てて隠れる。続いてやって来た音楽教師バジリオから「伯爵がロジーナに迫っている」と聞いたバルトロは、すぐにでも結婚契約書を作成しようとする。

バルトロ邸に隠れていたフィガロは、リンド―ロ(伯爵)の想いをロジーナに伝え、ロジーナは大喜び。
そこへ伯爵が軍人に変装してやって来る。宿泊証を見せてここに泊まると主張するが、バルトロは寝耳に水の話で追い返そうとする。
リンド―ロだと気づいたロジーナが彼(伯爵)に手紙を渡すと、それを見たバルトロと大騒ぎ。騒動をきいた軍隊も入ってきて伯爵を逮捕しようとするが、伯爵が身分を明かし皆の驚きの中で幕がおりる。

第1幕 finale
ジョイス・ディドナート(1969‐)J.D.フローレス ペーテル・マッテイ(1965-)ジョン・デル・カルロ(1951—2016) ジョン・レアイア(1972‐) Claudiaクロ―ディア・ウエイト
メトロポリタン歌劇場(2006-07 season)

【第2幕】バルトロ邸

「突然やって来た軍人は伯爵の手下に違いない」と言うバルトロ。
そこに体調の悪い音楽教師バジリオの代わりだと言って、バジリオの弟子アロンゾに扮した伯爵がやって来て、ロジーナの音楽のレッスンをする。

ロジーナは一目でアロンゾがリンド―ロ(伯爵)だと気づき、二人は愛を語り合う。
音楽教師バジリオが現れ、ウソがばれないようフィガロも一緒になって追い返すが、結局バルトロにアロンゾは偽物だとばれてしまい、伯爵は追い出される。

怒り心頭のバルトロは「リンド―ロはお前を伯爵に売るつもりだ」とロジーナに告げる。リンドーロと伯爵が同じ人物と知らないロジーナはその言葉を信じて、バルトロとの結婚を承諾を承諾する。

フィガロと伯爵がロジーナの部屋のバルコニーにやってくると、ロジーナはリンド―ロの裏切りを非難する。伯爵は貧乏学生のリンド―ロを愛してくれたことに感激して「リンドーロこそが伯爵だ」と正体を明かし、驚き喜ぶロジーナ。

三重唱
『ああ!なんと思いがけないこと
Ah! qual colpo inaspettato!』
伯爵:ラウル・ヒメネス(1950-)
ロジーナ: アンナ・ボニタティバス
フィガロ:レオ・ヌッチ(1942- )

そこに、バルトロが呼んだバジリオと公証人がちょうどやって来たので、伯爵とロジーナの結婚契約書を作成。バルトロは、リンド―ロと伯爵が同一人物だと知り「ロジーナの遺産をすべてバルトロに譲る」と言われて結婚を承諾。

万事が解決し、結婚の祝福の中で幕を閉じる。

『この素晴らしく幸せな結びつきを」
Di Si’ Felice Innestoe 』
ロジーナ:キャスリーン・バトル(1948-)
伯爵:ロックウェル・ブレイク(1951-)
フィガロ: レオ・ヌッチ(1942‐)
ドン・バルトロ:エンツォ・ダーラ(1938-)
フェルッチョ・フルラネット(1949‐)

 


ロッシーニ:歌劇《セヴィリアの理髪師》パリ・オペラ座2002年 [DVD]

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