9月23日1913年【吉田 秀和】

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吉田 秀和
よしだ ひでかず

[ 音楽評論家・随筆家 / 日本 ]
1913年(大正2年)9月23日-2012年5月22日 98歳没
日本の音楽評論の先駆者であり第一人者。
2012年98歳で亡くなる直前まで精力的に活動を続けた。


吉田秀和―音楽を心の友と

 

生涯

1913年大正2年 東京市日本橋区新和泉町(現・東京都中央区日本橋人形町)に生まれる。
父は外科の開業医。母の雪は東京深川の小間物屋の娘で、青山女学院(現・青山学院)第1期生。母の影響で西洋古典音楽に親しんで育つ。
1922年11歳 大森へ転居し、関東大震災の被害を免れる。
1923年12歳 父親が小樽の病院の院長に就任したため、一家で北海道小樽に転居。旧制中学校の小樽市中学校でのちに小説家・文芸評論家となる若き伊藤整から英語を学ぶ。
このころ、伊藤整と旧知である小林多喜二がヴィオラを手に吉田家を来訪し、秀和の母と合奏したことがある。
1930年19歳 旧制成城高等学校(現成城大学)英語クラスに入学し、同年秋にドイツ語クラスに移る。
また、中原中也にフランス語の個人教授を受け、小林秀雄や大岡昇平と交流する。(同じ鎌倉市に在住していた小林と吉田は、その後ライバル関係となる)
1936年23歳 東京帝国大学文学部フランス文学科卒業。
1937年から1938年、帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)で半年足らずフランス語を教える。戦局の悪化に伴い内務省地方局庶務係で英独仏語の翻訳に従事。
1942年29歳 ロベルト・シューマンの『音楽と音楽家』を翻訳し刊行。
戦時中は内閣情報局所管の日本音楽文化協会に出向し、ピアノの原料の鋼鉄や鉄筋を音楽産業のために確保することや、音楽家の軍事徴用を止めるよう説得する業務に就いた。

1946年33歳 戦後、官職を辞し、『音楽芸術』誌(音楽之友社)に『モーツァルト』の連載を始め、本格的に評論活動を開始。

音楽評論家であること(吉田秀和さん自身の語り)

1948年35歳 斎藤秀雄、井口基成、伊藤武雄と「子供のための音楽教室」を開設し、初代室長。一期生には小澤征爾(1935‐)、中村紘子(1944-2016)、堤剛(1942‐)らがいる。「子供のための音楽教室」は、後の桐朋学園音楽部の母体となり、多くの優れた音楽家を輩出した。
1953年40歳 約 1年欧米を回り、多くの作曲家や演奏家と交流する。
同年、初の評論集『主題と変奏』を刊行。
1957年44歳 柴田南雄らと「二十世紀音楽研究所」を設立、所長となる。
1964年51歳 桐朋学園でドイツ語を教えていたバルバラ・クラフトと結婚。
1967年54歳 西ベルリンに約1年余り滞在。
1975年62歳 『吉田秀和全集』(第一期10巻まで)で第2回大佛次郎賞受賞。

吉田秀和全集(1) モーツァルト・ベートーヴェン

1982年69歳、紫綬褒章を受章。
1983年70歳 初来日したホロヴィッツのリサイタル(S席50,000円を含めチケットは即日売切れた)において、吉田は「ひびの入った骨董品。それも一つや二つのひびではない」と評して話題となった。しかし1986年のホロヴィッツ再来日の時は、称賛した。

1988年75歳 水戸芸術館初代館長に就任。
勲三等瑞宝章、NHK放送文化賞受賞。
1990年77歳 水戸室内管弦楽団を創設。
音楽・演劇・美術などの各分野で、優れた芸術評論を発表した人に対して贈られる「吉田秀和賞」(吉田秀和芸術振興基金主催)を設立。朝日賞、神奈川文化賞を受賞。
1993年80歳 『マネの肖像』で第44回読売文学賞受賞。
1996年83歳 文化功労者。
2006年93歳 文化勲章受章。
2007年94歳 鎌倉市名誉市民及び水戸市名誉市民。
2012年5月22日98歳 鎌倉市内の自宅で急性心不全のため死去。
没日付けで従三位に叙された。

・2012年7月14日、NHK-FM『名曲の楽しみ』「ラフマニノフのその音楽と生涯」27回目(同シリーズ最終回)が生前の録音で放送された。
・『藝術新潮』『音楽芸術』などの雑誌、また『読売新聞』『朝日新聞』に演奏会批評を執筆し、連載執筆や、NHK-FM放送で1971年から、約40年にわたって続けられている『名曲のたのしみ』の番組構成・司会を継続して行なうなど、幅広く支持されていた。
・大の相撲好きとしても知られる。
・朝日新聞夕刊『音楽展望』で約2年の長期中断理由は、2003年11月に夫人吉田=クラフト・バルバラ の死去による精神的衝撃のためとされる。


名曲三〇〇選―吉田秀和コレクション


吉田秀和: 孤高不滅の音楽評論家

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