『ポッペアの戴冠』-オペラを知る

クラシック音楽情報【オペラを知る】

歌唱、オーケストラ、演技、衣装、舞台、演出…と総合芸術といわれるオペラ。

上演時間が長い、チケット代が高い、内容がわからない…など、クラシック音楽の中でも敷居が高いと言われます。

でも
こんなに奥深いオペラを愉しまないなんて
もったいない!

主なオペラ一覧は こちら

ポッペアの戴冠
L’Incoronazione di Poppea

バロックオペラの中で最もよく上演され、暴君として知られるローマ皇帝ネロ(37~68)の史劇を元にしたオペラの中で最古の作品。
耽美的な世界観を誇るモンテヴェルディが75歳で作曲した最後となったこのオペラは、悲劇的な場面や抒情的な場面のみならず、コミカルな場面も含まれ、登場人物の写実的な描写など彼の最高傑作と言われる。
ローマ皇帝ネロ―ネは浮気相手ポッペアと結婚しようと考え、悪女のポッペアもそれに加担し、邪魔な存在である哲学者セネカを自殺させ、妻オッターヴィア、ポッペアの夫を追放。ポッペアが皇后の座を奪い取る。

 

【作曲】クラウディオ・モンテヴェルディ
Claudio Monteverdi(1567-1643)
【原作】コルネリウス・タキトゥス『年代記』第14巻
【台本】ジョヴァンニ・フランチェスコ・ブゼネッロ(1598-1659)
【言語】イタリア語
【初演】1642年12月26日 サン・ジョヴァンニ・エ・パオロ劇場(ヴェネツィア)
【上演時間】3時間10分
プロローグ 10分
第1幕 80分
第2幕 60分
第3幕 40分

主な登場人物

ネローネ(ソプラノカストラート、現在では女性のソプラノ或いはメゾソプラノかテノールで歌われる):ローマ皇帝
オッターヴィア(メゾソプラノ):ネローネの妻、皇后。最後に皇后を奪われローマを去る。
オットーネ(カウンターテノール):ポッペアの夫、ローマの将軍
ポッペア(ソプラノ):オットーネ将軍の妻で、最後にネローネと結婚し皇后になる
ドルジッラ(ソプラノ):宮殿内侍女。オットーネを愛している。
アルナルタ(コントラルト、テノール):ポッペアの乳母
セネカ(バス):哲学者、ネローネの家庭教師
フォルトゥナ(ソプラノ):運命の擬人化
ヴィルトゥ(ソプラノ):美徳の擬人化
アモーレ(ボーイソプラノ):愛の神キューピッド
パッラーデ(ソプラノ):知恵の神
ヴェネレ(ソプラノ):ヴィーナス
ほか

あらすじ

【プロローグ】 天上界

運命の神フォルトゥナと美徳の神ヴィルトゥが「美徳とは、信じる者もいない落ちぶれた神」「運命など、邪なる夢想に過ぎない」とそれぞれ自分の力が一番だと訴えている。
愛の神アモーレが現れ「自分は子供の身体だが、一度口を開けば世界が変わる。これから始まるドラマによって愛が1番強力である事が証明されるだろう」と言う。

【第1幕】
第1場 ローマ・ポッペアの屋敷の外

時は紀元62年、皇帝ネローネの治世下。舞台はローマ。
ローマの将軍オットーネが戦地から妻ポッペアの館に帰り着くと、屋敷の外に皇帝の衛兵たちがいる。妻ポッペアがローマ皇帝ネローネと浮気していると気が付き、妻を愛するオットーネは嘆き悲しむ。

護衛兵が目を覚まし皇后オッターヴィア様もお気の毒と語りあっているところに皇帝ネローネとポッペアが登場。
ネローネは「妻・皇后オッターヴィアと離婚して、ポッペアを妻にする」ことを約束し、ポッペアは喜ぶ。

第2場 ポッペアの屋敷の中

ポッペアの乳母アルナルタが、ポッペアを諫めるが、ポッペアはそれを気にも留めない。

第3場 ネロ―ネ皇帝の宮殿

皇后オッターヴィアは夫ネローネの浮気を嘆く。

『蔑まれた皇后 Disprezzata regina』

乳母はオッターヴィアをなぐさめ浮気を勧めるが、彼女はその気にはなれない。
オッターヴィアは家庭教師である哲学者セネカにネローネに忠告してくれるよう頼む。
独り佇むセネカの前に知恵の神パッラーデの神が現れ「お前はもうすぐ死ぬ」と予言する。
ネロ―ネが「オッターヴィアは冷たいし子供もできないから、離婚してポッペアと結婚する」と言い、セネカがそれを諫めると、ネローネは激怒しセネカを宮廷から追い出してしまう。

第4場 ポッペアの寝室

ポッペアのもとを再び訪れた皇帝ネロ―ネの「ポッペアを皇后にする」との言葉にポッペアは喜ぶが、セネカの存在が気になり言葉巧みにセネカの事を告げ口する。
怒ったネローネは衛兵隊長を呼び、セネカの自殺を命ずる。

第5場 ポッペアの屋敷の外

屋敷の外でオットーネが嘆いている。
ポッペアがバルコニーに現れ、オットーネは思い直すよう訴えるが、ポッペアは相手にせず姿を消す。

そこへオットーネを慕う皇后の侍女ドルジッラが彼に言い寄ってくるが、彼はポッペアへの愛を諦めきれない。

【第2幕】
第1場 ローマ郊外 セネカの家

使いの神メルクリオがセネカの前に現れ、セネカの死が近いことを予言する。
間もなく宮廷から衛兵が訪れると、セネカは「皇帝の命は言われずとも分る」と述べる。
家族や友人たちは思いとどまるよう懇願する。『セネカよ死ぬなかれ』周りの制止もむなしく、セネカは「無実の者の血が死への道を朱に染めるように」と辞世の言葉を言い、風呂桶の中で手首を切って静かに絶命する。

『Amici è giunta l’ora / Non morir, Seneca』
セネカ: ポール・ウィーラン

第2場 王宮の庭

小姓が若い女官ダミジェッラに言い寄っている。
女官は小姓を子供だと相手にしなかったが、次第に仲良くなる。

第3場 王宮の中

王宮ではネローネがセネカの死を祝う宴会で、廷臣ルカーノとポッペアの美しさを歌い、ポッペアもその喜びに加わる。

第4場 王宮の部屋

別室でオットーネが嘆いていると皇后オッターヴィアが現れ、彼の妻ポッペアの殺害を命じる。オットーネは躊躇したものの、やむなく引き受ける。

『Tu che dagli avi miei havesti le grandezze』

オッタ―ヴィア:フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(1962‐)
オットーネ:メイト・ボーモント

オットーネは、侍女ドルジッラの衣装を借りて変装し、ポッペアを殺害すべく彼女の元へ向かう。

第5場 宮殿の庭

ポッペアは「皇后の座」に胸を躍らせ、愛の神に祈りを捧げ、乳母アルナルタは「その時には私の事もお忘れなく」と言い、ポッペアは彼女の子守歌で眠りにつく。

『Or che Seneca è morto… Oblivion soave』

ポッペア : S.ヨンチェヴァ(1981- )
アルナルタ : エミリアーノ・ゴンザレス・トロ

すると「愛の神」が天から降りて来て何も知らずに眠るポッペアに「お前は私が守る」とアリアを歌う。
そこに女装したオットーネが現れ、寝ているポッペアの頭上に剣を振りかざしたその時「愛の神」がそれを遮る。

ポッペアは目を覚まし乳母アルナルタを呼び、逃げるオットーネを乳母がドルジッラに襲われたと勘違いしつつ追っていく。

『Dorme, l’incauta…Eccomi trasformato…Forsennato, scellerato』

【第3幕】

第1場 路上

乳母アルナルタと警官は、侍女ドルジッラの衣服が目撃されたため、彼女を暗殺犯だと思いこみ逮捕する。
オットーネを愛するドルジッラは、ポッペーア殺害未遂の罪で皇帝の前に引かれると自分がやったと認め、オットーネの身代わりに罪を被ろうとする。
皇帝ネローネがドルジッラに死刑を宣告すると、オットーネが自分が真犯人だと名乗り出て、皇后オッターヴィアの命令であったことなど、すべてを白状する。
ネローネはオットーネを国外追放を告げるとドルジッラは同行を願い出、ネローネはこれを許す。
皇后オッターヴィアを離縁し永久追放を命じたネローロは、ポッペアと共に邪魔者がいなくなったことを喜び愛の2重唱で喜ぶ。

『Signori, hoggi rinasco』

第2場 王宮

王宮ではアルナルタが、皇后の侍女となる未来を喜び歌う一方、オッターヴィアはローマ追放を嘆く。『さらば、ローマよ Addio, Roma

『さらば、ローマよ』

皇后オッタ―ヴィア:A.ハレンベリ(1967‐)

めでたくポッペアの新皇后が誕生し盛大な戴冠式で、臣下たちや神々の祝福を受ける。愛の神アモーレが皇帝と新しい后に言葉を寄せ、ネローネとポッペアの愛の二重唱『ずっとあなたを見つめ Pur ti miro, pur ti godo』の中で幕となる。

『ずっとあなたを見つめ』

ポッペア:ダニエレ・デ・ニエーゼ(1979- )
ネロ―ネ:フィリップ・ジャルスキー(1978-)

指揮:アーノンクール
演出:ジャン=ピエール・ポネル

歌劇《ポッペアの戴冠》 [DVD]

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