『トスカ』- オペラを知る

クラシック音楽情報【オペラを知る】

歌唱、オーケストラ、演技、衣装、舞台、演出…と総合芸術といわれるオペラ。

上演時間が長い、チケット代が高い、内容がわからない…など、クラシック音楽の中でも敷居が高いと言われます。

でも
こんなに奥深いオペラを愉しまないなんて
もったいない!

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トスカ
Tosca

プッチーニの人気オペラ『トスカ』は、1800年のローマを舞台に、歌姫トスカと恋人の画家カヴァラドッシ、そしてローマを牛耳るスカルピア男爵が繰り広げる愛憎劇。

『歌に生き、恋に生き』『星は光りぬ』などの名アリア、オルガンや鐘の音、銃や大砲の音が使われ音響効果も聴きどころのひとつ。

【作曲】ジャコモ・プッチーニ
Giacomo Puccini(1858-1924)
【原作】ヴィクトリアン・サルドゥの同名の戯曲
【台本】ルイージ・イッリカ、ジュゼッペ・ジャコーザ
【言語】イタリア語
【初演】1900年1月14日 コスタンツィ劇場(ローマ)
【上演時間】1時間50分(第1幕45分 第2幕40分 第3幕25分)

新国立劇場ダイジェスト

 

主な登場人物

フローリア・トスカ(ソプラノ):孤児の身から美声を認められ人気歌手になった歌姫
マリオ・カヴァラドッシ(テノール):画家でトスカの恋人
スカルピア男爵(バリトン):ローマ市の警視総監
アンジェロッティ(バス):前ローマ共和国統領、脱獄してきた政治犯
スポレッタ(テノール):スカルピアの副官
堂守(バス):聖アンドレア・デラ・ヴァレ教会の番人

あらすじ

【第1幕】1800年6月 聖アンドレア・デラ・ヴァレ教会

ナポレオン統治の共和国が崩壊し、王制のもと恐怖政治が行われている。王制側の警視総監スカルピアは、共和主義者を次々と投獄し、そのひとりアンジェロッティは脱獄に成功。彼は無人の聖アンドレア・デラ・ヴァレ教会に身を隠す。

この教会でマリアの絵を描いている画家カヴァラドッシは、自分の恋人の美しさを称えて『妙なる調和』を歌う。

妙なる調和
Recondita armonia』
カヴァラドッシ:L.パヴァロッティ(1935-2007)

共和主義の同志カヴァラドッシは、アンジェロッティをかくまうことを約束する。
そこにカヴァラドッシの恋人の歌姫トスカが現れ、カヴァラドッシの様子から浮気を疑い彼を問い詰める。『マリオ、マリオ、マリオ!』

マリオ、マリオ、マリオ!
Mario, Mario, Mario!』
トスカ:マリア・カラス(1923-1977)
カヴァラドッシ:カルロ・ベルゴンツィ(1924-2014)

誤解は解け、二人は今夜の演奏会後に別荘に行くことを約束してトスカは立ち去る。

カヴァラドッシとアンジェロッティが隠れ家に向かった後、教会の堂守が大勢の少年合唱隊や待者ともに戻り、ナポレオン軍がマレンゴの戦闘に敗れたという誤報を信じ、神に感謝して「テ・デウム」を歌う。

そこへ、部下を従えた警視総監スカルピアが脱獄犯アンジェロッティを追って教会へやってくる。カヴァラドッシがアンジェロッティをかくまった証拠をつかんだスカルピアは、嫉妬深いトスカを利用して二人の行方を突き止めようとする。トスカはカヴァラドッシを再び疑い、立腹してその場を去る。

教会では「テ・デウム」が歌われ、スカルピアは恋するトスカと脱獄犯の両人を手に入れる、と歌う。

テ・デウム Te Deum』
スカルピア:ブリン・タ―フェル(1965-)

【第2幕】ファルネーゼ宮殿にあるスカルピアの部屋

ファルネーゼ宮殿の自室にスカルピア。
そこへ部下がアンジェロッティは逃したが、拘留したカヴァラドッシを連れてくる。

スカルピアは彼を拷問にかけて居場所を聞き出そうとするが、カヴァラドッシは厳しい拷問を受けるも、口を割らない。
そこでトスカを呼びつけ、恋人が拷問されるうめき声を聞かせると、トスカはそれに耐えられずアンジェロッティの隠れ場所を教えてしまう。

拷問部屋から戻されたカヴァラドッシは、トスカが秘密を漏らしたことを激しく詰る。
その時、ナポレオンがマレンゴでオーストリア軍を破った知らせが入る。スカルピアのいる軍の敗北に動揺するスカルピア達を前に、カヴァラドッシは勝利”Vittoria!”を叫ぶ。
逆上したスカルピアは、カヴァラドッシを死刑にすることとし再び収監する。

後を追おうとしたトスカは呼び止めるスカルピアに、カヴァラドッシを助けてくれるよう懇願すると、スカルピアはその代償に彼女の身体を求める。
トスカはその苦悩と、神に助けを求め『歌に生き、愛に生き』を歌う。

歌に生き、愛に生き
Vissi d’arte, vissi d’amore』
マリア・カラス(1923-1977)

スカルピアの部下がアンジェロッティが自殺したことを告げ、カヴァラドッシの処遇をたずねる。スカルピアは銃殺のふりだけで見せかけの処刑を行うよう命令する。
トスカはさらに「2人で逃亡するための通行手形」を要求し、スカルピアが手形を書き終えトスカを抱こうとした時、トスカはスカルピアをナイフで刺し殺す。
息絶えたスカルピアから通行手形をもぎ取ったトスカは部屋を出ていく。

【第3幕】サン・タンジェッロ城の屋上

サンタンジェロ城の屋上にある牢屋で、カヴァラドッシは夜明けに行われる処刑を前に、看守にトスカへの指輪を託す。
そしてトスカへの手紙を書き始めると感極まり、愛と絶望、命の惜しさを歌う。

星は光りぬ
E lucevan le stelle』
カヴァラドッシ:J.カウフマン(1969‐ )

そこにトスカが現れ、恋人の命と引き換えに身体を要求したスカルピアを刺し殺したことなど、これまでのいきさつを話し、見せかけの処刑ののちに一緒に逃げられることをカヴァラドッシに伝え、二人は手を取り合って自由を喜び『優しく清らかな手』を歌う。

優しく清らかな手
O dolci mani』
カヴァラドッシ:P.ドミンゴ(1941‐ )
トスカ:ライナ・カバイヴァンスカ(1934- )

時間が迫ったことを告げるトスカとカヴァラドッシはお互いの愛情を歌う。二重唱『新しい希望に魂は勝ち誇って』

処刑が執行され、トスカがカヴァラドッシに近寄ってみると、彼は銃殺され息絶えている。
トスカはスカルピアとの約束が嘘だったことに気が付き、気がくるわんばかりに驚く。
そこへ、スカルピアの死体を発見した部下たちがトスカを捕まえに屋上に上がってくる。

トスカは屋上から身を投げ命を絶ち『星は光りぬ』の印象的なメロディが流れて全幕が降りる。

ファイナルシーン
トスカ:ゲオルギュー(1965‐ )

その他

・実在する舞台
『トスカ』の舞台となった場所は、それぞれローマに実在している。

第1幕の聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会は、今でも中に入ることができる。

第2幕のファルネーゼ宮殿は、現在フランス大使館。

第3幕のサン・タンジェロ城は、ローマの観光名所である。

 


『トスカ』全曲 ヘルベルト・フォン・カラヤン & ウィーン・フィル、レオンティーン・プライス、ディ・ステーファノ、他(1962 )

・ドラマティックなストーリーと音楽で構成される『トスカ』はオペラ映画として製作、公開されている。

オペラ映画『トスカ
[キャスト]アンジェラ・ゲオルギュー(1965‐)
ロベルト・アラーニャ

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