クラシック音楽情報
【音楽家の誕生日 一覧】
舘野 泉
たての いずみ
［ピアニスト/日本］
1936年11月10日 –
フィンランドを拠点に演奏活動をしていた2002年、脳溢血で倒れ半身不随となりましたが、翌年麻痺が残る身体で復帰し左手だけの演奏家として活動しています。
経歴
1936年 東京都目黒区自由が丘に、チェリスト舘野弘とピアニスト舘野光（小野光）のもとに生まれる。
母方は、明治維新まで7代にわたって仙台藩の能楽を司っていた家系。妻のマリア・ホロパイネンはフィンランド人のソプラノ歌手。息子のヤンネ舘野はヴァイオリニスト。弟の舘野英司はチェリスト。妹の鍋島晶子はヴァイオリニスト。晶子の長女の鍋島真理は音楽学者。末妹の広瀬悠子はピアニスト。
第二次世界大戦時には栃木県小山市間中に一家で疎開、敗戦を迎える。
目黒区立緑ヶ丘小学校から慶應義塾普通部、慶應義塾高等学校を経て東京藝術大学音楽学部ピアノ科入学。レオニード・コハンスキー(1893-1980)、安川加寿子(1922-1996)、豊増昇、イェルク・デームス(1928-2019)に師事し、首席で卒業。
1964年28歳 フィンランドの首都ヘルシンキに移住し、シベリウス(1865 - 1957)、メリカント(1868-1924)、マデトヤ(1887-1947)、パルムグレン(1878-1951)、カスキ（1885-1957）、メラルティン(1875-1937)、ラウタヴァーラ(1928-2016)、コッコネン( 1921-1996)、ノルドグレン(1944年1月19日 - 2008)など、フィンランドの近現代作曲家の作品に取り組み、世界中で演奏会を開催。
1968年32歳 メシアン・コンクールで第2位。
同年より国立シベリウス・アカデミーの教授を務めたが、
1981年45歳 フィンランド政府より終身芸術家年金を与えられ、以降教職を退いて演奏活動に専念。
1985年49歳 日本シベリウス協会が設立され会長を務める。
2002年1月9日65歳 フィンランド・タンペレでのリサイタル中に脳溢血で倒れ、リハビリを経ても右半身に麻痺が残る。
同年 若い頃からレパートリーにしていたセヴラック(1872– 1921)の「日本セヴラック協会」を作り、顧問を務める。
2003年8月66歳 オウルンサロ音楽祭で左手のピアニストとして復帰。
スクリャービン( 1872-1915)やリパッティ(1917-1950)による、左手のためのピアノ作品を演奏した。それをきっかけに、本格的にこの分野を開拓していこうと決意。
2004年68歳 日本で左手のピアノ作品によるリサイタルを開き、マスコミにも大きくとりあげられた。
以後、演奏会、録音ならびに新作委嘱などを通して、左手ピアノ曲の普及に努め、世界１０カ国の作曲家が彼の左手のために９０曲をささげた。
2012年76歳 東燃ゼネラル音楽賞を受賞。
2018年82歳 フィンランド政府から日本親善大使の一人に任命される。
2019年83歳 日本とフィンランドの国交樹立１００周年を記念したコンサートを開く。
【ジャパンアーツHPより】
クラシック界のレジェンド、80歳ピアニスト。
領域に捉われず、分野にこだわらず、常に新鮮な視点で演奏芸術の可能性を広げ、不動の地位を築いた。
人間味に溢れ、豊かな叙情をたたえる演奏は、世界中の幅広い層の聴衆から熱い支持を得て、深く愛され続ける。
ピュアで透明な旋律を紡ぎだす、この孤高の鍵盤詩人は、2002年に脳溢血で倒れ右半身不随となるも、しなやかにその運命を受けとめ、「左手のピアニスト」として活動を再開。
尽きることのない情熱を、一層音楽の探求に傾け、独自のジャンルを切り開いた。
“舘野泉の左手”のために捧げられた作品は、10ヶ国の作曲家により、80曲にも及ぶ。命の水脈を辿るように取り組んだ作品は、拓いたジャンルをも飛び越え、ただそこにある音楽だけが聴くものの心に忘れがたい刻印を残す。
昨年の傘寿記念公演では自らに捧げられた作品2つ、左手作品の最高峰ラヴェルとヒンデミット、この4つのピアノ協奏曲を一気に演奏し、満場の喝采を浴びた。
もはや「左手」のことわりなど必要ない、身体を超える境地に至った「真の巨匠」の風格は、揺るぎない信念とひたむきな姿がもたらす、最大の魅力である。
【公式HP】
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