音楽を題材にした映画(邦画)vol.3

音楽を題材にした日本の映画のご紹介。
ミステリー「さよならドビュッシー」、実話の映画化「ザ テノール」、コミックや小説を原作とする2012年から2018年に公開された9作品。

音楽映画(邦画一覧)はこちら
vol.1(1945-93年5作品)はこちら
vol.2(2001-10年9作品)はこちら

カルテット(2012)

[監督・脚本] 三村 順一
[原作・脚本]鬼塚 忠
[音楽プロデューサー]今瀬 康夫
[撮影]岡田 次雄
[音楽]渡辺 俊幸
[出演]高杉 真宙、剛力 彩芽、細川 茂樹、鶴田 真由、秋山和慶
[ジャンル]ドラマ
[上映時間]118分)


カルテット!

崩壊寸前だった家族がクラシックのカルテットを結成することできずなを取り戻し、再生していく姿を描いた小説『カルテット!』が原作。
作者の鬼塚忠が住む浦安市の市制30周年記念として製作された。クランクイン直前に東日本大震災が発生し、舞台でもあり撮影地でもあった千葉県浦安市が甚大な液状化被害を受けたが、市民700人がエキストラで参加するなどの協力によって完成した。

カルテット! (河出文庫)

永江開はヴァイオリンで将来を嘱望されている。父(ピアノ)と母(チェロ)は生活のために音楽をあきらめ、姉は弟への両親の期待や才能に対して負い目を感じ、フルート演奏家の道からドロップアウト。そして父親が失業したことで一家は破たん寸前。
開は家族カルテットを結成し、再び家族のきずなを取り戻そうとする。

リトル・マエストラ(2013)

[監督]雑賀 俊郎
[原作]いずみ♡組
[脚本]坂口 理子
[音楽]歌里 涼
[音楽プロデューサー]平山 広幸
[指揮指導]松下 京介
[音楽コーディネーター]濱口 典子
[プロデューサー]藤田修、大塚馨、砂塚隆広
[撮影]百束 尚浩
[出演]有村 架純、釈由美子、蟹江敬三、井上 道義
[ジャンル]ドラマ
[上映時間]108分)


リトルマエストラ

日本海に面した小さな港町。過疎化や高齢化などで町は寂れていく中、町民の楽しみであるアマチュアオーケストラが存在していた。
音大出身のみどり(釈由美子)は故郷のその街のオーケストラでヴァイオリンを担当していた。コンテストに向けて十八番の「威風堂々」を練習していたが老指揮吉川が突然亡くなってしまい、町の補助が打ち切られ、解散の危機に。困り果てたみどりは、吉川の生前、孫娘は天才少女指揮者だと聞かされたことを思い出し、美咲(有村架純)を呼び寄せる。

だが、実際の美咲は何1つ楽器が満足に弾けない茶髪で派手好きな落ちこぼれ女子高生だった。そんな彼女とメンバーが紆余曲折を経て、お互いに成長していく姿を描く。

さよならドビュッシー(2013)

[監督]利重 剛
[原作]中山 七里
[脚本]牧野 圭祐、利重 剛
[製作]林 哲次、岡崎 剛之
[音楽]小野川 浩幸
[出演者]橋本 愛、清塚 信也
[主題歌]泉沙世子「境界線
[ジャンル]ミステリー
[上演時間]131分)


さよならドビュッシー 【DVD通常版】

『クロエ』の利重剛監督が、第8回『このミステリーがすごい! 』大賞(宝島社主催)を受賞した中山七里原作の同名小説を、『桐島、部活やめるってよ』NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の橋本 愛主演に映画化したミステリー。
ピアノ教師役には、TVドラマ『のだめカンタービレ』、映画『神童』での音楽指導や吹き替え演奏を担当した清塚信也を起用した。

遥の従姉妹で帰国子女のルシアは、両親が危険な国へ行くことを理由に祖父に預けられる。しかしその後、両親は行方不明に。

16歳になった遙はピアニストを目指すが、一緒にピアノを習っていたルシアは看護学校に入ると言い、遥にはピアニストになって自分のためにドビュッシーの「月の光」を弾いてほしいと語る。
その晩、祖父、ルシアとともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残った遥は全身火傷の重傷を負い、着用していたTシャツでかろうじて遥と判別できる状態で担ぎこまれ、移植手術を受け一命を取り留める。

祖父の遺産が12億円入るが、ピアニストになる準備と演奏活動のためにしか使えないという条件つき。遥は不自由な肢体やブランクを理由に、それまで師事してきた鬼塚に指導を断られるが、司法試験を合格したにも関わらずピアニストになったという岬が、指導を引き受ける。遥はイジメにもめげずに、夢を実現させるべくコンクールに向けて練習を積み重ねる。
そんな中、彼女を狙うかのような不可解な出来事が次々と起こる…。

ザ・テノール(2014)

[原題]The Tenor Lirico Spinto
[監督・脚本]キム・サンマン
[エグゼクティブプロデューサー]T・J・チョン、澤上龍、輪嶋東太郎
[音楽]キム・ジュンソン
[製作国]日本・韓国合作
[出演]ユ・ジテ、伊勢谷友介、チャ・イェリョン、北乃きい
[ジャンル]実話ドラマ
[上映時間]121分

ポスター画像
オペラ歌手、ベー・チェチョル(ユ・ジテ)は繊細で力強い類希な歌声〈リリコ・スピント〉を持ち「100年に一人の声を持つテノール」と絶賛された。
日本人の音楽プロデューサー沢田幸司(伊勢谷友介)はチェチョルの歌声に惚れ込み、日本のオペラ公演の主役として招聘し大成功をおさめる。

ヨーロッパに戻ったチェチョルは次の公演「オテロ」の練習中に、突然意識を失って倒れてしまう。医師の診断は甲状腺癌。手術によって命はとりとめたものの、声帯の片方の神経が切れてしまい、二度と歌う事ができなくなってしまった。劇場から契約を切られ、なす術もなく韓国へ帰国。絶望の淵に追いやられたチェチョルを、妻のユニ(チャ・イェリョン)が懸命に支えた。
沢田幸司が治療を探し出し、日本で歌声を取り戻すため甲状軟骨形成手術を受ける。そこから、沢田の献身的な助けを受けて再び美声を取り戻すまでの厳しい道のりが始まる。

輝く日を仰ぐとき – ベー・チェチョル


[公式HP]

マエストロ!(2015

[監督]小林 聖太郎
[原作]さそう あきら
[脚本]奥寺 佐渡子
[音楽]上野 耕路
[指揮指導]佐渡 裕[オーケストラ]ベルリン・ドイツ交響楽団 (Deutsches Symphonie-Orchester Berlin)
[撮影]清久 素延
[照明]横道 将昭
[プロデューサー]井出 陽子、田中 美幸
[音楽プロデューサー]安井 輝、篠崎 恵子
[出演]松坂桃李、miwa、西田敏行
[ジャンル]ドラマ
[上演時間]129分

さそう あきら作、第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第13回手塚治虫文化賞にノミネートされた『マエストロ!』を原作に映画化

マエストロ! [DVD]

スポンサーの倒産によって解散を余儀なくされた名門オーケストラ。コンサートマスター香坂真一(松坂桃李)ら、元団員のもとに謎の指揮者から再結成の呼びかけがあり、練習場に集まる。そこは廃工場、集まったメンバーは再就職先も決まらない「負け組」楽団員たちと、アマチュアフルート奏者のあまね(miwa)。

そこに呼びかけた張本人、天道(西田敏行)が現われる。経歴も素性も不明、指揮棒の代わりに大工道具を振り回すような破天荒な指揮に、当初楽団員は反発するが、次第に音の深さに引き込まれていく。
迎えた復活コンサート当日、天道の意図が明らかに。

指揮指導・指揮演技監修には佐渡裕が日本映画初参加。クライマックスで佐渡指揮、ベルリン・ドイツ交響楽団によるベートーヴェン交響曲第5番「運命」とシューベルト「未完成交響曲」が演奏され、エンディングにはピアニスト辻井伸行によるオリジナルテーマが流れる。

くちびるに歌を(2015)

[監督]三木 孝浩
[原作]中田 永一
[脚本]持地 佑季子、登米 裕一
[撮影]中山 光一
[照明]松本 憲人
[美術]花谷 秀文
[装飾]西尾 共未
[音楽]松谷 卓
[主題歌]アンジェラ・アキ「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」
[音響効果]岡瀬 晶彦
[出演]新垣 結衣、木村 文乃、桐谷 健太
[ジャンル]ドラマ
[上映時間]132分

NHK全国学校音楽コンクールの課題曲となった「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」の作者であるアンジェラ・アキのテレビドキュメンタリーをもとに中田永一が小説化。

くちびるに歌を (小学館文庫)

舞台は長崎県五島列島のある中学合唱部。合唱部顧問の音楽教師・松山先生(木村文乃)は、産休に入るため、中学時代の同級生・柏木(新垣結衣)に1年間の期限付きで合唱部指導を依頼する。美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。

くちびるに歌を DVD 通常版

一方、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。提出は義務づけていなかったこともあり、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない秘密や心の傷が綴られる。

その後合唱部内でのある事件を経て、これまでやる気のなかった男子部員もコンクールに向けて真面目に練習に打ち込み始め、次第に部内のわだかまりが解消されていき、やがて長崎県大会の本番に挑む。

青空エール(2016)

[監督]三木 孝浩
[原作]河原 和音「青空エール
[脚本]持地 佑季子
[音楽]林 ゆうき
[主題歌]whiteeeen「キセキ〜未来へ〜」
[製作]市川 南
[エグゼクティブ・プロデューサー]山内 章弘
[撮影]清久 素延
[美術]花谷 秀文
[出演]土屋 太鳳、竹内 涼真、志田 未来、上野 樹里
[ジャンル]ドラマ
[上映時間]126分

発行部数400万部近い河原和音の人気コミック「青空エール」監督三木孝浩で実写映画化。(参照:音楽漫画2000年代


青空エール DVD 通常版

甲子園のスタンドで野球部の応援をする吹奏楽部にあこがれて、北海道札幌で吹奏楽の名門・白翔高校に入学した小野つばさ(土屋太鳳)。甲子園を目指す野球部の山田大介(竹内涼真)と出会い、互いに甲子園を目標に頑張ろうと約束を交わす。しかし全国大会を目指すレベルの高い練習に何度も挫折しそうになるトランペット初心者のつばさを勇気づけてくれる大介。お互い夢に向かって励まし合うふたりは、ある「約束」をかわす。いつの間にかつばさには、大介へのほのかな想いが芽生えていた。ふたりは“両片思い”のままそれぞれの夢を追いかけ、そして、高校最後の夏が来る――。

[公式HP]

オケ老人(2016)

[監督・脚本]細川 徹
[原作]荒木 源
[脚本]細川 徹
[音楽]渡邊 崇
[音楽監修・指揮指導]飯塚 正己(アンサンブル・ソナーレ)
[製作]永井 拓郎
[撮影]芦澤 明子
[出演]杏、黒島 結菜、坂口 健太郎、笹野 高史
[上映時間]119分
[ジャンル]ドラマ

原作は『ちょんまげぷりん』や『探検隊の栄光』などが映画化されている荒木源氏の同名小説。

オケ老人! (小学館文庫)

監督はコメディを得意とする細川徹。笑いあり涙ありの痛快クラシック音楽エンタテインメント映画。

オケ老人!

学生時代にオーケストラでバイオリンを弾いていた小山千鶴(杏)は、数学教師として梅が岡高校に赴任し、地元アマチュアオーケストラのコンサートを聴きに行く。演奏に感銘を受けた彼女は入団を決意する。

後日、千鶴が楽団の拠点に行ってみると、そこのメンバーは老人ばかりであった。
彼女が聴いたコンサートはエリート集団の「梅が岡フィルハーモニー」。しかしそこは「梅が岡交響楽団」。伝統ある楽団だったが、今はすっかりお年寄りばかりで演奏レベルもひどいアマチュア・オーケストラ。若者の入団を喜ぶ老人たちを前に、勘違いだと言い出せなくなり、そのまま楽団に入団することになる。
そして、なりゆきから、心臓の悪い野々村に代わり指揮者をつとめることになってしまう。

自由奔放な老人たちと出会い、音楽の本当の楽しさを知る千鶴と、音楽を多くの人に届ける喜びを知るアマオケ老人たちは、年代を越え成長していく。


[公式HP]

羊と鋼の森(2018)

[監督]橋本 光二郎
[原作]宮下 奈都『羊と鋼の森』
[脚本]金子 ありさ
[音楽]世武 裕子
[音楽プロデューサー]北原 京子
[エンディング・テーマ]「The Dream of the Lambs」久石 譲×辻井 伸行
[製作]市川 南
[撮影]山田 康介
[美術]矢内 京子
[出演]山﨑 賢人、鈴木 亮平、吉行 和子、三浦 友和

第13回本屋大賞、第4回ブランチブックアワード大賞2015、第13回キノベス!2016 第1位となった宮下 奈都のピアノ調律師を主人公にした小説『羊と鋼の森』を2018年映画化。

羊と鋼の森 (文春文庫)

「羊」の毛で作られたハンマーが、
「鋼」の弦をたたく。
ピアノの音が生まれる。
生み出された音は、
「森」の匂いがした―

北海道育ちの高校生、外村直樹(山﨑賢人)は将来の夢を持っていなかったが、ピアノ調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)に出会い、彼が調律したその音に生まれ故郷と同じ森の匂いを感じ、板鳥が所属する楽器店の調律師に。先輩調律師・柳(鈴木亮平)はじめ多くの人に支えられ、磨かれて、外村は調律師として、人として、成長していく。
そして、高校生姉妹ピアニスト和音(上白石萌音)由仁(上白石萌歌)と出会う。

羊と鋼の森 オリジナル・サウンドトラック SPECIAL(AL2枚組)

DISC1には映画に登場するピアノ作品を辻井伸行の演奏で収録、DISC2には久石譲×辻井伸行によるEDテーマ「The Dream of the Lambs」、世武裕子による劇伴音楽(サウンドトラック)を完全収録。


公式HP

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